やってしまった。ぶんすけの爪切りを失敗した。
朝起きぬけに、(あっそうだ、ぶんすけの爪切りをしないといけないな。)と思い、恋人と二人掛かりでぶんすけの爪切りに挑んだ。
今まで二回爪切りをやったが、その時は、恋人が保定、私が爪を切る役だった。なぜか今回は恋人に爪を切る役をさせてしまった。
恋人はなかなかの不器用だ。細かな作業や何かを作る作業は私の方が向いている。恋人には、人より大きな手でぶんすけを包み込んでもらえばよかったのだ。人には得意不得意がある。
それなのになぜか恋人に任せてしまった。
中指の爪を恋人がかなり切ってしまった。
かなり痛々しい。血が出てきた。
さっき止血する前に撮った写真だが、血が少しずつ染みてくる感じではなく、血が出てきている。
私は2回目の爪切りでちょっとだけ親指を切りすぎたことがあった。ほんのちょっと、誤差の範囲内で、20分もすれば血は止まったし、その時はそれでよしとした。
不安だったのでネットで検索したが、「ちょっと切りすぎたくらいじゃ別になんともないです。すぐに血は止まります。」という先輩鳥飼いさんの知恵袋アンサーばかりだったので、その時は30分くらい様子を見て、血がちゃんと止まったのでほっと胸をなでおろした。
今回も、そんな感じだろうと思っていた。
さすがに前回よりは大幅に切りすぎているが、
(まあ言うても爪、直径たった1mmくらいしかない爪、今は血が出ていてもすぐに止まるだろう。)くらいに思って、ケージに戻し、他のことをしていた。
他のことをしている時になぜ気づかなかったのだろう。
”爪を切ってもすぐ血は止まる”という思い込みがあって、そのまま夕方まで放置してしまっていた。
出かけたりもしたし、ケージの中のぶんすけの様子を見る暇がなかった。
夕方、放鳥しようとしてケージに近づくと、止まり木や餌入れに赤茶色い点々がついていることに気づいた。
なんだろうこれは。と思って、とにかくぶんすけをケージから出してみた。
ぶんすけはすぐに肩に乗ってきたが、ぶんすけがいなくなった後の手の平には血がついていた。
えっ!?!?!?
となった。
なぜか朝の爪切りのことは忘れていて、自分の手の平に傷がないか調べたりした。全く自分の手は傷ついていなかった。
おかしいな。と思った瞬間、朝の爪切りのことを思い出した。
急に血の気が引き血相を変えた私は、ぶんすけを肩から下ろした。
肩は血の海になっていた。
これを書いてるだけで、またぶんすけに申し訳なくって涙が出そうだ。
爪切りのせいで血が出ているとやっと気づいた私は、すぐに走ってコンビニへ向かい、線香を買った。
前回爪切りを失敗した時、心配でかなり文鳥の爪切りのことを調べた。
ネットによると、線香を切りすぎた爪の傷口にジュッと押し付ければ、止血できるらしい。
爪には神経が入っていないため、文鳥自身は痛みを感じることはない。
線香を光の速さで買ってきた私は、そのままガスコンロで線香に火をつけ、保定されて嫌がるぶんすけの爪に押し当てた。
止まった。
ちゃんと血が止まった。
ぶんすけも、保定はかなり嫌そうにしていたが、線香は痛くないようだった。
血が止まったぶんすけは、いつも通り楽しそうに私の周りをうろちょろしている。
本当に血の気が引いた。
実際血の気が引いているのはぶんすけなのに、私の血の気が一瞬で引いてしまった。
事前に線香のことを知っておいてよかった。
私にとってはほんのちょっとの、紙で皮膚を切ったくらいの出血でも、小さな小さな文鳥にとってはきっとかなりの出血量だろう。
なぜかぶんすけは出血してもいつも通り動き回っていたが、ケージについた血の量と文鳥の体の大きさを考えると、とてもひどい、申し訳ないことをしてしまったと悔やむ。反省している。
恋人が悪いわけではない。事前に、「このへんまで切って」と言わなかったし、たぶん白いところは全部切っていいと思ったのだろう。任せてしまったのも悪かった。恋人にも申し訳ない。
私のせいだ。
ぶんすけは私しか頼る人がいないのだ。私がぶんすけの世界の全てなのだ。
もっとしっかり責任を持ってあげなければならない。
ごめんねぶんすけ。もうしないからね。